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「会社を伸ばすための経営学」(2021年5月号)を掲載しました

コラム
2021.5.1

「斜め上に進め!」

深谷の皆さま、こんにちは。
昨年前半から影響が続くコロナショックですが、多くの企業が小さくとも地に足を付けた立ち直りを見せています。今回業績を上げている企業に見られる特徴は、回復というよりも、変革といった方がよいような復活劇を見せていることです。
青森県八戸市の水産加工会社マルヌシは、コロナショックを機会と捉え、事業承継をしました。前社長が予定よりも3年早く会長職となり、後継者に社長職を譲ったのです。3年前倒しした一番の理由は、これからの時代は大きく変わるから、その時代に合った人に未来を見据えてかじ取りをしてもらいたいと考えたからです。経営の安定面においては会長が後ろ盾となることでリスクを減らすことができます。渋沢栄一翁も「新しき時代には新しき人物を養成して新しき事物を処理せねばならない」と言っています。古今東西、新しい時代に対応できるのは新しい人達なのだから、これからの時代はこれからの人に任せるしかない。という意味です。
八戸は漁港の町ですが、多くの水産会社は、東日本大震災にて大きなダメージを受け、さらに今回のコロナ禍で飲食店向けの売上が大きく下がったことであまり元気がありません。しかし、マルヌシを訪れて驚くのは、その活気です。企業全体が挑戦しようという前向きな気持ちにあふれています。マルヌシの主力商品の一つに38(サバ)缶があります。グリーンカレー味、アヒージョ味など、ユニークなものが揃っていますが、味で驚くのはその奇抜さだけでなく、他のサバ缶と比べてサバ自体がとてもおいしいことです。新社長に聞いてみたところ、もちろん水揚げされてすぐに加工していることもあるが、油の乗っている時にしか生産していないことが大きな理由ではないかとのことです。販売戦略も、広く日本中に情報発信しているものの、独自サイトでの販売以外は八戸エリアのみの集中販売です。様々なことに挑戦しつつも「選択と集中」も同時に行っているところが面白いですね。
このようにコロナ禍からの復活は、「元に戻る」というよりは、「斜め上に進む」といったものではないでしょうか。当社においても、コロナショック前と現在では、仕事内容もやり方も体制も大きく変わりました。昨年の今頃には「仕方なく」やっていたWebセミナーやコンサルティングも今や全体の半分以上になっています。今まではセミナーはともかく、コンサルティングは地元のお客様が多かったのですが、Webを使うのが一般的になると同時に日本全国に広がりました。内容だって大きく変わりました。セミナーの中で、参加者が作成したものを事例に添削していくようなことは実地セミナーではなかなかやりづらかったものです。
新しい挑戦は、もちろん、良い面も悪い面もあります。いや、最初は悪い面の方が目立つのかもしれません。でも、時代は後戻りできないのです。コロナ前に戻れなくても、今までのようにまっすぐに進めなかったとしても、「斜め上」に進んでいく、そんな気持ちで経営していきたいものですね。
(深谷商工会議所報2021年5月号より抜粋)

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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