開業手続き
1 事業形態(個人・法人)について
起業するとき、個人事業主か法人形態にするのかは多くの人が悩みます。事業が小さいうちは個人事業主のほうがコストパフォーマンスに優れていますが、事業が大きくなるとともに法人の方が有利になります。コンパクトに費用をかけずにやるなら「個人事業」、信用を得ながら多くの人を巻き込み大きく運営していくなら「法人」と考えていきましょう。事業を運営するのに一番重要なのは「信用」です。信用は時間と共に積み上げていくものですが、起業時に法人を作ることは時間や費用などのコストがかかるため、どれだけ本事業に投資をしたかがわかります。法人の場合、報告義務も課され一部公開もされるので、その分信用があると言えます。
個人 | 法人(株式会社) | |
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開業手続き | 比較的簡単で特別な費用はかかりません。 | 設立登記に時間と費用(概ね30万円程度)がかかります。 |
税務申告 | 申告書類などは比較的記載が容易です。 3月15日が確定申告の期限です。 |
決算関係の書類作成が複雑で税理士に委託している割合が高いです。 |
税金(課税) | 事業規模が小さい場合は有利です。 | 事業規模が大きくなると節税効果があります。 |
事業に対する責任 | 無限責任。万が一の際には個人の全財産をもって弁済しなければなりません。 | 出資分を限度とする有限責任。但し、代表者は取引に際し連帯保証人となるケースがあります。 |
事業主の責任 | 事業利益が事業主の報酬となります。 | 定款又は株主総会の決議で決定します。社長や役員の給与は、役員報酬として経費になります。 |
社会的信用 | 一般的に法人に比べてやや劣ります。 | 一般的に信用力に優れています。 |
2 起業に伴う各種届出について
起業時に届け出が義務付けられているものがあります。
慣れない書類を書くことは大変ですので、お気軽に商工会議所へご相談ください。
(ただし、一部の業務は税理士等へ外部委託しなければならないことがありますので、ご了承ください)
個人 | 法人(株式会社) | |
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(国)税務署 | 開業届出書 | 法人設立届出書 |
県税事務所 | 事業開業報告書 | 法人設立報告書 |
市区町村役場 | 開業等届出書 | 法人設立届出書 |
日本年金機構 各年金事務所 |
健康保険、厚生年金保険(注)に関する届出 ①新規適用届 ②新規適用事業所現況書 ③被保険者資格取得届 ④被扶養者(異動)届 ⑤国民年金第3号被保険者の届出 |
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公共職業安定所 | 雇用保険に関する届出 ①適用事業所設置届 ②被保険者資格取得届 |
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労働基準監督署 | 労災保険に関する届出 ①保険関係成立届 ②適用事業報告 ③労働保険概算保険料申告書 |
(注)個人の事業主は国民健康保険、国民年金の適用になります。
3 税金について
起業すると下記のような税金が課されます。
個人事業主の場合は基本的に商工会議所で全てお手伝いすることが可能です。お気軽にご相談ください。
(法人に関しては、一般的に税理士へ委託します。詳しくは商工会議所へご相談ください。)
個人 | 法人(株式会社) | |||
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国税 | 所得税 | 所得金額に応じて課税されます。 | 法人税 | 所得金額に応じて課税されます。 |
地方税 | 個人住民税 ①県民税 ②市町村民税 |
均等額でかかる「均等割」と前年の所得に比例してかかる「所得割」からなります。 | 法人住民税 ①県民税 ②市町村民税 |
資本金等の金額区分に応じてかかる「均等割」と当期の法人税額に応じてかかる「法人税割」からなります。 |
個人事業税 | 所得金額に応じて課税されます。 | 法人事業税 | 所得金額に応じて課税されます。 | |
消費税 | ・消費税 ・地方消費税 |
原則として 課税売上高1,000万円以下の事業者は免税です。 |
・消費税 ・地方消費税 |
原則として 課税売上高1,000万円以下の事業者は免税です。 |
4 許認可について
起業する業種によって、届け出の必要なものがあります。
下記業種での起業を検討している方は保健所や警察署、官庁への届け出を怠らないように注意してください。詳しくは、商工会議所へご相談ください。
保健所 | 警察署 | 都道府県庁およびその他官庁 |
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・飲食店営業 ・菓子製造業 ・食肉販売業 ・魚介類販売業 ・旅館業 ・理容業 ・美容業 ・クリーニング業 ・医薬品等の販売業 など |
・マージャン店 ・古物商 ・警備業 ・指定自動車教習所 など |
・酒類販売業 ・各種学校 ・旅行業 ・宅地建物取引業 ・建設業 ・人材派遣業 ・自動車整備業 ・ガソリンスタンド など |