多くの可能性を持つ街、深谷
深谷市は、埼玉県の北部に位置する、人口約14.2万人、約5万世帯が暮らす大きな街です。北部に利根川、南部に荒川が流れ、赤城山(群馬県)を臨むことができます。首都圏から70km圏内という立地の良さもあり、商工業が発展しています。
加えて、県内1位、全国でも20位の農業出荷額を誇る深谷市は、地名のついた深谷ねぎをはじめ、キュウリ、トマト、ブロッコリーなど様々な種類の野菜が出荷されており、豊かな土壌であることもうかがえます。
さて、「埼玉県深谷市」と聞いて、皆さんが思い浮かべるイメージはどのようなものでしょうか。前述の「深谷ねぎ」や、「旧宿場町」「レンガ造りの建物」など、その印象は様々かと思われます。最近では、2021年にNHK大河ドラマ第60作目の主人公となり、2024年からの新一万円紙幣の肖像となることも決定している、渋沢栄一生誕の地としても話題になりました。
このような特徴をもつ深谷市は、創業するにあたり多くの可能性をもつ街といえます。主な利点として、次の3点をご紹介します。
1 今後も伸びる観光需要
○「日本資本主義の父」渋沢栄一
渋沢栄ーは、1840年、現在の深谷市血洗島の農家に生まれました。渋沢家は藍玉の製造販売と養蚕を主な生業とする、血洗島でも有力な農家でした。その後上京して幕府に使え、幕臣としてヨーロッパへ約2年滞在、ヨーロッパの文化や思想などを日本に持ち帰りました。
帰国後は株式会社制度の実践や、日本最初の経営者団体であり商工会議所の前身である商法会議所を設立、大蔵省に勤めた後はその生涯で約500の企業の育成に関わり、同時に約600の社会公共事業や民間外交にも尽力しました。
「日本資本主義の父」とも称される渋沢栄ーは、1916年に『論語と算盤』を著し、「道徳経済合一説」という理念を掲げました。幼少の頃に学んだ『論語』を基軸に、経済を発展させるために道徳は必要であり、その上での経済活動は国全体を豊にしていくことに繋がるとするもので、創業者・経営者が大切にしている考え方の一つです。
○名所
深谷市は歴史のある街です。室町時代(15世紀前後)には城下町として、江戸時代には宿場町として栄えました。そのため、様々な遺跡·史跡が各所に点在しています。例えば、深谷城跡や宝泉寺、瑠璃光寺などは観光スポットとしても有名です。
また深谷市には、今でも渋沢氏にゆかりのある建築物が多数所在しています。渋沢栄ー記念館、中の家(生家)、誠之堂、清風亭などには、全国から多くの観光客が訪れます。
また、この渋沢栄ーが1887年、現在の深谷市上敷免にある日本煉瓦製造株式会社の設立に関わり、日本最初の機械式レンガ工場が稼働しました。深谷レンガは、深谷市内の建築物はもちろん、東京駅や赤坂離宮、東京大学などにも使用され、当時の近代化を進めました。
他、深谷市は、2014年に世界文化遺産への登録が決まった富岡製糸場とも関わりがあります。設立に渋沢栄ーが活躍し、初代工場長に深谷市出身の尾高淳忠が就任した経緯から、富岡製糸場と深谷市を往来する観光ルートは定番コースとしての地位を確立しつつあります。
○道の駅・ふるさと館OAK(オーク)
深谷市は農業が盛んということもあり、農作物をあつかう道の駅に大勢の来場者が訪れます。深谷市には「道の駅おかべ」「道の駅かわもと」「道の駅はなぞの」と、3件の道の駅があります。それぞれ地元産の新鮮な野菜を直売しているほか、お土産やお弁当なども販売しており、いずれも駐車場が埋まるほど盛況です。
また、2020年にまちなかに市内商店の一品を集めた物産館「渋沢栄一翁ふるさと館OAK」もオープンし、今後も成長が見逃せません。
○花の街「深谷市」
深谷市は花卉(かき)園芸の一大産地として、全国でも有名です。なかでもユリの栽培が盛んで、その収穫量は全国一位となっています。東京ドームひとつ分以上の広大な敷地面積をもつ深谷グリーンパークでは、春にチューリップ(農業産出額国内2位)、夏にユリ(同1位)、秋にコスモスが咲き誇ります。
市内へ足を延ばせば、年間を通じて各所で花を観賞できます。春には、唐沢堤(からさわつつみ)で全長3kmにわたり約300本の桜を楽しむことができます。また秋は「コスモス街道」が見どころです。JR高崎線と平行する市街5号線では、約3kmにわたりコスモスが皆様をお待ちしています。
2 交通の便に優れた街
深谷市は、交通の便に優れた街といえます。東京都心から70km圏内にあり、道路運送、鉄道運送のいずれにおいても東京と北陸の中間に位置する要所となっています。
道路運送に関しては、関越自動車道、国道17号線および深谷バイパス・上武国道(バイパス)、国道140号線および同バイパス、国道254号線などが機能しています。関越自動車道では、花園インターチェンジ(IC)から深谷市内ヘアクセスできるほか、本庄児玉IC(本庄市)や嵐山小川IC(嵐山町)も隣接しています。鉄道運送に関しては、縦横に往来できる点が特徴的です。JR高崎線を利用すれば、東京駅まで約90分で乗換えなく移動ができます。また、上越新幹線の本庄早稲田駅(本庄市)および熊谷駅(熊谷市)が深谷市に近接しており、東京駅まで約70分での移動が可能です。さらに、秩父鉄道を利用すれば西は秩父方面から東は羽生方面まで移動ができます。
3 埼玉県の市町村統計からみる深谷市のすがた
埼玉県が公開している「統計からみた埼玉県市町村のすがた2020」より、深谷市の位置付けを確認します。右の表は、埼玉県63市町村の統計データに基づくランキングを参考にしたものです。多数ある項目のうち、深谷市が上位16位以内(上位25%)にある項目を抜粋しました。
特に目立つのが、産業に関する項目です。市町村内総生産の第1次産業(農業)に関しては、深谷市が県内63市町村の第一位に位置しています。総農家数と経営耕地面積が最上位グループに属しているのも、農業が盛んなことを裏付けています。
また、商工業が発達している点も特徴的です。第2次産業(製造業)と第3次産業(サービス業)の市町村内総生産がそれぞれ7位、16位と県内でも上位にあり、製造品出荷額等(第6位)や卸売業・小売業年間商品販売額(第15位)をみても、その勢いを読み取ることができます。
ただし、ごみ排出量(第4位)や温室効果ガス排出量(第10位)、交通事故発生率(第6位)などは産業の発達している地域ならではの課題といえるでしょう。この課題に対し、市では解決に向けての対策を進めています。
【深谷市のすがた】
カテゴリ | 項目 | 件数 | 単位 | 埼玉県 ランキング |
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人口・世帯 | 総人口 | 141,966 | 人 | 15/63 |
1世帯当たりの人員 | 2.6 | 人 | 15/63 | |
3世代世帯の割合 | 8.7 | % | 16/63 | |
在留外国人数 | 2,924 | 人 | 16/63 | |
昼夜間人口比率 | 94.1 | % | 18/63 | |
人口増減率 | △3.67 | % | 35/63 | |
社会増減率 | 1.09 | % | 32/63 | |
産業・労働 | 総農家数 | 4,186 | 戸 | 1/63 |
経営耕地面積 | 3,996 | 面積(ha) | 3/63 | |
耕作放棄地面積 | 826 | 面積(ha) | 1/63 | |
民営事業所数 | 5,491 | 件 | 11/63 | |
従業者数 | 55,344 | 人 | 13/63 | |
製造品出荷額等 | 493,287 | 百万円 | 6/63 | |
卸売業、小売業年間商品販売額 | 282,266 | 百万円 | 15/63 | |
医療・福祉 | 人口10万人当たり病床数(一般診療所) | 64.3 | 件 (人口10万人対) |
14/63 |
要介護(要支援)認定率 | 16.9 | % | 11/63 | |
くらし・環境 | 1人1日当たりのごみ排出量 | 1,075 | (g/人日) | 4/63 |
温室効果ガス排出量 | 1,117.8 | (千t-CO2) | 10/63 | |
人口千人当たり自動車保有車両数 | 479.0 | 台 (千人当たり) |
14/63 | |
人口千人当たり軽自動車保有車両数 | 337.3 | 台 (千人当たり) |
16/63 | |
NPO法人数 | 58 | 件 | 8/63 | |
安全 | 自主防犯活動団体数 | 130 | 件 | 13/63 |
交通事故(人身事故)発生率 | 3.68 | 発生率 (人口千対) |
6/63 | |
行政・財政 | 市町村内総生産(第一次産業) | 23,637 | 百万円 | 1/63 |
市町村内総生産(第二次産業) | 208,172 | 百万円 | 7/63 | |
市町村内総生産(第三次産業) | 278,017 | 百万円 | 16/63 |
(出典)統計からみた埼玉県市町村のすがた2020
(URL http://www.pref.saitama.lg.jp/a0206/shicyosonnosugata2020.html)
(備考)「公立小中学校の耐震化率」は深谷市を含む50市町村(全63市町村)が100%のため含まれておりません。