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お知らせ

「会社を伸ばすための経営学」(2021年9月号)を掲載しました

コラム
2021.9.1

「一見無駄に見える新たなことをやってみる」

深谷の皆さま、こんにちは。
 この時期になって、続々と補助金の審査結果が発表になっていますね。
 コロナ初期であれば、被害対策の助成金や補助金が多いので、被害状況などを書いて提出するのですが、本年度は、コロナ後を見据え「どんな経営にするのか」を問うものが増えてきています。そうなると、5年程度先を見越した事業計画書を作成することになるのですが、これがとても難しいと言われています。もちろん、事業計画書の書き方が分からない方もいるでしょうが、そもそも、何をやったら良いのかが分からない、アイデアがないという方が多いのではないでしょうか。
 「5年後、あなたはどうしていますか?」と聞かれたら、明確に答えられる人はほとんどいないかと思います。それが、会社全体の計画で、しかも、現状との違い(発展性)を求められるわけですので、難易度はさらに上がります。
 根本的な考え方としては、「現状を変える」ということです。今まで通りやっていれば数年先も安泰、という時代は遥か昔からなくなっているのですが、コロナ禍によって、明らかに「安泰」と呼べる業種はなくなったと言えます。つまり、全事業者が、多かれ少なかれ変化をしなければ生き残れない時代に突入した、と言えるでしょう。
 しかし、人間は変化が怖いものです。心理学によると、「無変化への欲求」、つまり変わりたくないという「欲求」が存在していると言われていますので、変わることが億劫であったり、怖かったりすることはむしろ自然なのかもしれません。
 でも、変わらなければ未来はないのです。
 どうすれば良いのか、まずは、コストを考えて、様々なことに挑戦してみるのをお勧めします。
この場合、コストとは、「お金」、だけでなく、「時間」、「労力」、「心理」もです。つまり、「どのくらいの金額までは許容範囲なのか?」、「どのくらいの時間をかけられるのか?」、「どのくらいの手間をかけられるのか?」、「どのくらいまでは、無駄に思えるようなことを許せるのか?」を予め決めてから、新たなことをやってみるのです。
 私は、四六時中、仕事のことを考えているようなワークライフバランスが悪い人間ですが、土曜日は極力、「人から遊んでいるように見える、無駄なこと」をやるように心がけています。
自分ではあえて選択しないような選択肢を選んでみたり、自分からは絶対やらないことに付き合ってみたり、興味のない本や映画をあえて見たり…。最近は、AIが発達し、興味のありそうな選択肢を目の前にさらしますので、興味のない、自分からかけ離れたものを探すには一苦労ですが、意外とこれがビジネスのアイデアに結び付いたりしています。
 私は、子供のころ集中力がなく、「やりっぱなしにしないで、一つのことを終わらせてから次のことをやりなさい」と怒られていましたが、経営では真逆で、「一つのことを終わらせてから次のことをやったのでは間に合わないし、リスクが大きい」と言われています。今の事業が何とか生きている間に次の事業を育てていかなければなりません。
 是非、今こそ「一見無駄に見える新たなこと」をやってみてはいかがでしょうか。
(深谷商工会議所報2021年9月号より抜粋)

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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