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「会社を伸ばすための経営学」(2021年10月号)を掲載しました

コラム
2021.10.1

「ボーダレスな経営」

深谷のみなさま、こんにちは。
 先日、専門誌の対談に呼ばれ、地域を支える青年部のリーダーと今後の青年部の活動や、これから若い世代がやっていくべき経営モデルについて議論してきました。私は、司会者というか、コーディネーターのような役割で、皆さんの意見を引き出しつつ、自分の意見も入れ、場の意見をまとめながら、最終的には結論まで導く、といったとても難解でやりがいのある役割です。
 まず感じたのは、皆さんポジティブだということです。コロナ禍の現状ですから、地域それぞれの違いはあれど、どこも大変な状況で、イベントを中心に活動してきた青年部などは、ともすれば今までの活動が否定され、モチベーションも落ちがちです。しかし、今回集まったメンバーは流石に全国選りすぐりということもあり、「このような時期だからこそできること」を探し、創意工夫をし、実行していました。
 多くの地域に共通することは、「今までの(歴史の)振り返り」です。例えば、東北の山間地域の青年部は、地域の祭りを支える団体の一つですが、今年は祭りが中止になったので、過去の写真を集め、写真展を開催したそうです。
 今、地域を支えている、またはこれから地域を支える世代に、伝統を目で見て直感的に分かるようにしたそうです。それも、「わが町の伝統はこうである!」といった感じに押しつけがましくないように工夫し、当時の祭りの参加者を中心に編集してあるので、「これ、うちのじっちゃんだぁ。若かったねぇ」とか、「この年は豪雪の中でやったんだ!すごいパワーだな」とかいう街の人の声も聞けたそうです。ともすれば惰性に流されがちな伝統行事を見直し、再びモチベーションをあげる良い機会となったそうです。
 彼ら青年部長たちと話していて、今後の地域再興のキーワードは「ボーダレス」ではないか、との結論に到達しました。
 コロナ禍の中、接触機会を減少しなければなりませんので、どの地域も、人の為に動くことも少なくなりがちです。都会はもとより、地方においても、「隣は何する人ぞ」といった状況も少なくありません。でも、困っている人は確実に増えているはずです。また、その問題もより大きくなってきており、自分一人で解決することができないことも多くなってきました。そのような時に、自分だけのことを考えて行動していては、ますます孤立するだけです。
 自分自身の行っている事業も、「ここまで」とか、「この業種はこういうことをするものだ」、といった固定概念を捨て、さらに、自分の仕事や責務も線引きしたりせず、そして、隣の軒先まで掃くように、地域や周りの為にもう一歩、良い意味での「余計なこと」や「おせっかい」をする。このようなボーダレスな活動を積極的に行うのがこれからの青年部のあるべき姿だというものです。
 私自身、引きこもりながら仕事をすることが多くなり、フィールドワークが少なくなった結果、考えが小さく縮こまっていたと深く、そして心地よく反省できた貴重なお仕事でした。
 皆さんも、足を一歩前に出し、ボーダレスな事業活動をしていきませんか。
(深谷商工会議所報2021年10月号より抜粋)

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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