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「会社を伸ばすための経営学」(2021年12月号)を掲載しました

コラム
2021.12.1

「渋沢栄一翁で考える一年」

深谷の皆様、こんにちは。
 本年も最終月となりました。本年は、渋沢栄一翁がNHK大河ドラマに採用され、注目される1年となりました。本年を振り返ってみると、コロナ禍で苦しんだこの時期に渋沢翁が注目されたのは、とても偶然だとは思えません。
 限りある資産を頼りにするよりも、限りない資本を活用する心掛けが肝要である。限りない資本を活用する資格は信用である。(渋沢栄一翁)
 コロナ禍で私たちは多くの財産を失ってしまいました。お金などの有形資産は使ってしまえば無くなってしまいますが、信用やネットワークなどの無形資産は使ってもなくなりません。むしろ増える事さえあります。信用さえあれば、お金を用立てることもできます。信用を守ること、それが重要なのです。
 円満な社会をつくるには常識を育てよ。社会の多数人に対する希望としては、むしろ完(ま)ったき人の世に隈(くま)なく充たんことを欲する。(渋沢栄一翁)
 コロナ禍においては、うまく立ち回って大儲けをした人もいました。しかし、それをうらやむのではなく、むしろ道徳や常識を守った人が多かったからこそ、良い社会が生まれるのです。こういう時こそ、穏健に常識を持った行動をとることができたでしょうか。
 大勢(おおぜい)に利益をもたらす事業をすることを志すべし。一家一人の為に発する怒りは小なる怒りにて、一国の為に発する怒りは大いなる怒りである。大いなる怒りは、国家社会の進歩発展を促す。(渋沢栄一翁)
 自分が大変な時は、人のことなんて考えられないと思ってしまうかもしれません。しかし、「人のために」と思って行動した方が、自分の利益のために行動するよりも大きな力が出るものです。苦しい時ほど、人のために行動する大きな力が世の中を変えていくのです。
 常に多くの葉を摘まんと思えば、その枝を繁茂(はんも)させなければならない。その枝を繁茂させようと思えば、その根を培養(ばいよう)せねばならない。(渋沢栄一翁)
 コロナ禍への対策だけでなく、次の世の中を創り出していかなければなりません。確かに今は苦しい時期ですが、成果(葉)を出すためには、しくみ(枝)や土台(根)を作っていなかなければなりません。成果を求めようと近視眼的な行動ばかりになっていませんか。
 溌剌(はつらつ)たる進取の気力を養いかつ発揮するには、真に独立独歩の人とならねばならぬ。(渋沢栄一翁)
 コロナ禍のような大きな問題には、国家のような大きな組織が対応しなければうまくいかないことも多くあります。しかし、誰かが助けてくれるとばかり考えていては、良くなりようがありません。自分の二の足でしっかりと大地をつかんで立ち上がり、自分たちができる事は何か、自分たちがやるべきことは何かを考え、行動していますか。
 いかがですか。もちろん、コロナ禍で苦しむ私たちに向けた言葉ではないのですが、渋沢翁は今の私たちを見据えたがごとくの数々の金言を残してくれています。1年の終わりに是非、渋沢翁の言葉を今一度思い出し、新たな一年につなげていきましょう。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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