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「会社を伸ばすための経営学」(2022年5月号)を掲載しました

コラム
2022.5.2

渋沢流『新常識』を深谷から

 深谷の皆様、こんにちは。
 4月から年度も変わり、様相が一変した感じですね。気分も一新、やる気とパワーに満ち溢れた令和4年度のスタートとなっています。ここ数年、コロナ禍で苦しんでいた分、一気に動き出す気配です。
 アフターコロナの経済を考えるにあたり、様々なことが言われています。でも、これから様相が一変する経営環境において、私たちは、いったい何を信じて経営していけば良いのでしょうか。
 コロナ以前と比べ確実に変化していることは、「価値観の多様化」が加速しているということです。今まで、とりわけ日本は、大勢の人が良いというものが良いものという風潮がありました。しかし、徐々に、好みが人それぞれ変わり、それに伴い、商品やサービスも多様化してきました。コロナ禍になり、生活様式や働き方まで大きく様変わりする中、人々の価値観は、ますます千差万別になっていきます。商売は、ある意味、消費者に併せて動いていくものですから、消費者の価値の多様化に対応するために、私たちの考え方や行動も大きくブレてしまうかもしれません。
 このような時こそ、自分たちの考え方や行動基準を決める軸のようなものが必要となります。私は、それが渋沢栄一翁だと思うのです。
 渋沢栄一は、道徳、倫理を重んじ、それを「常識」と表現していました。常識は、平時は当たり前のことと認識してしまいますが、今は、「当たり前が当たり前でなくなってきた」、もしくは、「当たり前というべき価値観が既にない」世の中になってきてしまっているのです。そこで、私たちは、もう一度「常識」というものについて考える必要があると思うのです。
 例えば、昔の商売では「いらっしゃいませ」、「こんにちは」、「お子さん、大きくなった?」など、あいさつや、お客様の状況を気に掛けることを、普通に当たり前にしてきました。また、商品を買ってもらったら、それを丁寧に包み、お渡しすることなど、これも当たり前のこととして行ってきました。お客様も、お店に挨拶したり、常連さんがお店側の事情なども察し、わざと在庫などを買い取ったりしていたこともありました。子供が病気の時など、時間外にお店を開けてもらったり、逆に、そういった時にお世話になったので常連になって
いったりしていました。中には、無意識に行われていたこともあり、そこには、常識という共通の価値観があったのです。
 この多様化の時代、昔ながらの風習や制度は、効率化やコロナ対応の観点からどんどん否定され、省略可されてきています。それに伴い、それぞれが思い思いに自分たちの要求を満たすように行動してしまう側面も垣間見られるようになりました。もちろん時代が違うので、同じ価値観で物事を判断してはなりませんが、渋沢翁がこの状況を見た時なんというでしょうか。おそらく、今こそ、「常識」を思い出せ、もしくは、今に合った「新常識」を創り出せ、とおっしゃると思うのです。
 現代の商工業者の私たちが今、何をしなければならないか?それは、渋沢翁の教えをしっかりと学び、そのまま行動したり、現代に合わせて考え、私たち自ら、今に合った「新常識」をつくることです。そして、自ら行動し、習慣にし、地域に根付かせる。令和4年度はそんな「新常識」の幕開けにしたいですね。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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