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「会社を伸ばすための経営学」(2022年7月号)を掲載しました

コラム
2022.7.1

「一粒で二度も三度もおいしい補助金申請」

深谷の皆様、こんにちは。
 近年、小規模事業者でも申請できる補助金も多数出てきました。補助金は用途が限定されていますので、自分たちの計画を変えてまで申請するようなものではありませんが、逆を言うと、自分たちが進みたい道や進むべき方向性の上にあれば有効活用したいものです。
 補助金の目的は、国や自治体が抱えている課題解決や対象となる企業へ「こうなってもらいたい」というものですので、補助金の傾向を見ていけば、制定者が、何をどのように考えているのかが分かります。
 令和4年度は、小規模企業の皆様が、最も多く申請している補助金である「小規模事業者持続化補助金」が大きく変わりました。通常枠に加え、「賃金引上枠」、「卒業枠」、「後継者支援枠」、「創業枠」、「インボイス枠」が創設され、「地域資源活用」、「地域コ
ミュニティ型ビジネス」、「過疎化」、「電子申請」などに該当すれば加点されます。
 私は、企業の賃金体系を構築するコンサルティングをすることもありますが、単純に利益の分け方を決めたり説明したりするものをつくるのではなく、「経営の目指す方向」を明確に示すものにするよう心がけています。「こういうことをすれば賃金が上がる」と示せば、多くの社員がそこに向かうことになるからです。
 同じように、補助金においても、「このような方を優遇する」、「このような取り組みをしている企業を優先する」と示すことで、小規模企業を一定方向に導こうとする意図があります。
 そう考えると、国が重要視している小規模企業の課題は、少なくとも、「賃金引上げ」、「小規模企業(従業員5人以下)からの卒業」、「次世代経営者育成(事業承継)」、「開業数増加(新規創業)」、「インボイス対応」、「地域資源の活用」、「地域コミュニ
ティビジネスの推進」、「過疎化対策」、「電子化対応」だということが分かります。
 そもそも、持続化補助金とは、小規模事業者の避けて通れない課題は「売上」であるため、売上を上げることに使える補助金を制定したものです。また、申請書は、「現状分析」、「課題の明確化」、「方向性や目標の提示」、「(補助金を使った)具体的な実施内容」、「本事業において期待される効果」と、正に簡単な事業計画書になっています。
 補助金は、ちゃんと目的通り使えば、返さなくて良いものです。また、このように申請に挑戦するだけで、国の向いている方向を理解したり、自社の事業内容が整理されたり、行くべき方向が明確になったりもします。そう考えれば、まさに、「一粒で二度も三度もおいしい」ものと言えます。民間企業の経営は合法の範囲で自由ですので、必ずしも国の方向性と合わせる必要性はありません。一方で、施策や法律変更も大きな外部要因ですので、この「流れ」にのっていくのも悪くないのではないでしょうか。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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