「会社を伸ばすための経営学」(2023年12月号)を掲載しました
「病床で考えたあれこれ」
深谷の皆様、お久しぶりです。長い間、ご無沙汰いたしました。実は、突然の脳梗塞で入院をしていました。コラムを毎月楽しみにしていた皆さん、本当にすみません。4か月前、右半身が全く動かず、退院しても施設入りとのことでしたので、家族は驚いたのですが、診ていた先生の論文事例になるくらい見事に回復しております。多少、右手、右足が不便ですが、コラムは大丈夫です。これからもよろしくお願いします。
4か月振りに社会復帰してみると、世の中がものすごいスピードで変化しており、驚きの連続です。
まず、何が大きく変わったって、それは物価です。野菜をはじめ、肉や魚、雑貨、エネルギー、不動産、税金に至るまで、ありとあらゆるモノが値上がりしています。調べてみると数パーセントということですが、体感ですと10~20%と言った感じでしょうか。多少、私が寝ぼけているのかもしれませんが、それにしても、デフレが続いていた日本では驚異的です。海外はもっとひどいと言われていますが、皆さんの生活における影響はいかがなものでしょうか。
次に驚いたのは、外国人が多いということ。私は、移住は反対なのですが、旅行ベースでは、海外の方に、どんどん来ていただき、じゃんじゃん日本のものを消費していただくのを良しとしていましたが、それにしても、多いですね。先日、静岡で復帰第一戦のセミナーをやったのですが、帰りの新幹線が2時間待ちでした。海外、特に欧米から、日本の食、文化、気質などが一番人気だそうですが、現在進行中の円安も相まって、ますます、この傾向は続きそうです。
そして、実体のない好景気。今の大手企業は空前の好景気です。なんせ、円安ですから、相場の2割から3割くらいのバーゲンセールで売れる。また、それは株価を見てもわかります。相対的に安い日本株に、日本人もそうですが、海外の投資家が食いついている。一方で、地方の中小企業は景気が良いところもありますが、一般的には大変苦しい状況です。
さて、この3つの状況から導き出されるこれからの深谷の未来は何か。それは、生産と販売、そして生活を兼ね備えた地方都市です。
深谷は県内有数の農工業の生産地です。これを伸ばしてどんどん生産量を上げる。そして、企業の協力を得ながら商品の開発をする。できるだけ海外の方やお金持ちが欲しがるものをつくろう。価値が見合わないものでは売れないが、品質とのバランスが良ければ受け入れられるはず。
そして、それを国内外に売ろう。輸出もしたいが、当面は来てもらう。そのためには、コンテンツが重要だ。深谷と言えば渋沢栄一。お札になる今、私は彼を使わない手はないと思うのだが、ありとあらゆる様々な方向から考えよう。私の台湾人の友人は、深谷で一番思い出に残ったのが、駅で食べた立ち食い蕎麦とのこと。そんなのあったか、などと思ったが、そんな地元からすれば他愛のないことも売りになる。
でも、それでは、物価がどんどん上がってしまう。私たちがいつも観光客と同じものを消費するわけにはいかない。だから、一緒に地元の人向けの商品もつくるのだ。ラベル、内容量を変えたり、カタチなどがちょっと崩れたものを安く売ったりすることで、何とかリーズナブルな金額に抑える。
と、好き勝手なことを書いてきましたが、このようなことを、体が動かない4か月、あーでもない、こーでもないと考えていたのです。でも不思議。そうやって、イメージを固めると、できそうな気もするものです。あながち、夢物語でもないかも…ですかね。
株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩