「会社を伸ばすための経営学」(2024年7月号)を掲載しました
「いよいよ渋沢1万円札発行ですね」
深谷の皆さん、こんにちは。
いよいよ7月3日に待望の渋沢栄一1万円札が発行されますね。ワクワクが止まりません。地元の英雄が1万円札の顔になるなんて感慨深いですね。「今は電子マネー全盛だから」なんて言っている場合じゃないですよ。渋沢1万円札が発行されるメリットをまとめておきましょう。ここでは、深谷にとってのメリットというよりも、わが国にとってのメリットと広くとらえてみます。
まず、最初に言えることは経済効果です。新しいお札が出るということになると、自動販売機やATM、セルフレジ、両替機などの入れ替えが必要となります。それだけでも、経済効果は1.6兆円です。これは、入れ替えを担当する部署の人間から言うと面倒なことですが、少なく見積もってもこれだけの経済効果があるということは見逃せません。
次に、偽造防止です。お札は国家の経済の基盤です。ですので偽造されるなんてことはあってはなりません。一方、プリント技術も発展していますから、定期的に新しくしていかなくてはならないんですね。今回も肖像が三次元に見える「ホログラム」や目の不自由な人への対応として「ユニバーサルデザイン」への導入などがされています。
以上の2つが、ちまたでよく言われている新札の効果なのですが、私はこれよりも、3番目の方が大きな効果があると思っています。それが、「気分一新」です。
「えー、そんなことなの!」と思わないでください。これ、大真面目に言っています。お札は、国家経済の基盤です。それが変わるということは、正直言って、最初は面倒でしょう。過去の例を見ても、最初は「おもちゃのようだ」と批判も受けるでしょう。でも、だんだん慣れてくるものですし、そのうちなんともなく使っている自分に気が付くでしょう。新札が出れば、それを使ってみたいと思うのも、人の性です。また、両替をする人も増えてきます。もちろん、古いお金だって両替しなくても使えます。でも、今、聖徳太子の1万円札をほとんど見かけなくなったように、確実にその流れは来るでしょう。この機会に何か買うという人も出てきます。残念ながら私の周囲では話題になりませんが、日本にはタンス預金というお金が存在すると言われています。それらが、数年間で出てくるとすれば、しかも、それのほとんどが、何かしらに使われるとしたら、その経済効果は計り知れません。
そして、これはあまり言われてはいませんが、1万円札で渋沢栄一を毎日見ることになる人は、「渋沢栄一ってどんな人なの?」って興味を持つこととなるでしょう。まあ、まさか論語と算盤を読む人が増えることは限定的でしょうが、少なくとも渋沢栄一って1万円札
の人だと認知されます。そうすれば、渋沢栄一の経営にも興味がわいてくることでしょう。これが、意外と大きいのかなと思います。渋沢栄一の経営理念は、現代の日本において、忘れてはならない重要なことを示唆しています。それらを渋沢栄一にゆかりのある深谷が情報発信したり実践したりせずに、どこがやっていくというのでしょうか。これは、私たちにとって、やらなくてはならない事であり、私たちが思っているように、今現在でも渋沢経営が通用するのであれば、大きなチャンスと言えます。そんな7月3日。私は、後から思えば、この日が日本経済の転換期だと言える日が来るのではないかと思っています。
株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩