「会社を伸ばすための経営学」(2025年12月号)を掲載しました
「渋沢の教えを経営に活かす」
深谷のみなさんこんにちは。いよいよ師走ですね。一年は早いものです。深谷の商店街には、地域の暮らしを支えてきたお店がたくさんあります。しかし、人口減少やネット通販、大型店の進出などにより、足を運ぶ人が減り、厳しい状況に置かれているのも事実です。そんな今だからこそ、渋沢栄一の発想が商店街の未来にヒントを与えてくれます。今回は5つの視点で見ていきましょう。
第一の視点は、「道徳」と「経済」を両立させること。渋沢栄一は『論語と算盤』で、人の道と利益を共につかむことの大切さを説きました。ただ儲けるだけでなく、お客様や地域に寄り添う姿勢が重要ということです。「相手の立場で考える」「誠実である」という基本が、結局は信頼を生み、長い商売へとつながっていきます。
第二の視点は、「現場を大切にすること」。渋沢は大企業家でありながら、農業や地域産業に深く関わりました。机上の空論ではなく、現場を見て学ぶ姿勢を貫いたのです。最前線にいるからこそ、お客様の声を直接聞き、すぐに工夫を加えることができます。例えば、旬の食材を紹介したり、お客様の好みに合わせて商品を勧めるお店は、現場から生まれる価値を届けています。こうした強みは、ネット通販には真似できない「人の目」と「経験」が生み出す魅力です。
第三の視点は、「先を読むこと」。渋沢は、時代の流れを感じ取り、新しい産業を次々と興しました。今の時代で言えば、デジタルの活用がこれにあたります。チャットGPTのようなAIを使えば、商品説明文の作成、SNS投稿、イベント告知、アイデア出しなど、発信力を手軽に高めることができます。店主は人と向き合う時間を増やし、AIには文章づくりなどを任せる。まさに「道具を使って経済を広げる」という渋沢の精神に重なります。
第四の視点は、「協力すること」。渋沢は多くの企業の設立に関わりましたが、それは一人で成し遂げたわけではありません。同じ志を持つ仲間と力を合わせたからこそ成功したのです。商店街も同じで、一店だけではできないことも、仲間と協力すれば実現できます。
最後の視点は、「挑戦を続けること」。渋沢は失敗を恐れず、新しい産業に挑み続けました。商店街も、小さな挑戦を繰り返すことで進化していくことができます。新しい商品を試し、反応を見て改善する。AIを使った発信や、お店同士のコラボイベントなど、小さな試みを積み重ねることが、やがて大きな変化につながります。10回中1回でも成功すれば、その一歩が商店街を大きく前進させるのです。
渋沢栄一が大切にした「道徳と経済の両立」「現場主義」「先見性」「協力」「挑戦」。これらは、時代が変わった今でも色あせない、商店街の未来を支えるヒントです。深谷の商店街には、人や地域とのつながり、歴史、そして新しい取り組みを受け入れる土壌があります。そこにAIという新しい道具や、挑戦する気持ちが加われば、小さな商店街でも大きく輝ける未来がきっと開けていくはずです。小さな会社だからこそできるイノベーションを一つ起こしてみませんか。
株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩