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「会社を伸ばすための経営学」(2026年4月号)を掲載しました

コラム
2026.4.1

「漫画から経営を学ぶ」

 深谷の皆さん、こんにちは。先日、久しぶり温泉に行きました。温泉そのものもとても良く、皆さんにもぜひおすすめしたいところです が、今回お話ししたいのは、そのとき休憩所で何気なく手に取った「漫画」についてです。私は学生時代から漫画に親しんでいて、学生時代までは週刊ジャンプやマガジン、スピリッツなどを毎週4、5冊読むのが当たり前でした。当時は大の漫画好きでしたが、社会人になってからは読む機会が減り、最近では「キングダム」くらいしか読んでいませんでした。ところが、久々に数冊読んでみると、印象が一変しました。とにかく、面白いのです。
 最近の漫画の特徴として、まず感じたのは「ジャンルの幅広さ」です。中継ぎの野球選手、 スカウト、裁判官、担任を持たない教師など、実にさまざまな職業が題材になっています。 もちろん漫画です からフィクションではありますが、普段接することのない世界を知る きっかけになります。娯楽でありながら、社会勉強にもなる。これはとても大きな価値だと感じました。次に感じたのは明らかに「子供向けではない」漫画が増えているということです。かつて漫画は、子供や学生のものというイメージが強くありました。しかし今は、大人が読んでこそ面白い、あるいは大人だからこそ考えさせられる作品が多くあります。読者層が広がったことで、表現の深さやテーマの幅も広がっているのでしょう。さらに特徴的なのが、「目的がはっきりしている漫画」が増えていることです。私が子供のころ、漫画の目的はほとんどが娯楽、つまり暇つぶしでした。しかし最近は、投資や仕事、人生観など、何かしらのテーマを入り口にした作品が増えています。そこで得た知識をそのまま使うのは危険ですが、興味を持つきっかけとしては非常に優れています。共感や違和感も含めて、学びの入口になっているのです。
 ここで、これを経営に置き換えて考えてみたいと思います。例えば、ある町の和菓子店が「お菓子そのもの」だけでなく、「職人の仕事」や「季節の物語」を発信し始めたとします。商品は変わらなくても、その背景や想いを伝えることで、興味を持つ人が増え、結果として来店につながることがあります。これは、漫画が娯楽だけでなく「学びや気づきの入口」になっているのと同じ構造です。街の商店も、自分たちの仕事を別の切り口で見せることで、新しい価値を生み出すことができるのです。
 日本は漫画大国だと言われていますが、私もその通りだと思います。その背景には、「空想を楽しむ文化」があります。空想で遊ぶこと自体が、実は世界的には珍しい文化だそうです。それを漫画という形で表現し、産業にまで育ててきたのは、日本の大きな強みです。一方で、その強みにあぐらをかいていると状況は変わってきます。 最近のアニメを見ると、制作スタッフに外国の方の名前が増え、Alによる制作も進んでいます。人件費や制作体制の問題もあり、漫画やアニメが生む利益の一部が海外に流れている現実もあります。経営も同じです。自分たちの強みは、当たり前すぎて見えにくいものです。しかし、それを意識し、どう活かす かを考えなければ、いずれ他者に取って代わられます。漫画に限らず、地域や小規模事業者が持つ特徴を再評価し、どう商売につなげるかを考えることが、これからます ます重要になるのではないでしょうか。忙しい中でも、自分たちの「当たり前」を見直してみる。そこに、次の一手のヒントが隠れているかもしれません。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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