「会社を伸ばすための経営学」(2026年5月号)を掲載しました
「忙しさに慣れてしまう前に」
深谷の皆さん、こんにちは。ゴールテンウィークが終わると、街も仕事も、少しずつ通常運転に戻ってきますね。5月は連休明けということもあり、仕事が一気に動き出す時期です。「気がついたら、ずつと忙しい」という方も多いのではないでしょうか。先日、ある小規模事業者の方と話していたとき印象に残る言葉がありました。「最近、とにかぐ忙しくて。でも、それが普通になってきました」。売上があるのは良いことですし、仕事が途切れないのもありがたい話です。ただ、その表情には、少し疲れがにじんでいました。
忙しさが続くと、それが当たり前になリます。そして、次第に「忙しい=うまくいっている」と感じてしまいます。しかし、本当にそうでしょうか。忙しいことと、経営が良い方向に進んでいることは、必ずしも同じではありません。小さな会社の場合、仕事のほとんどが自分に集中します。現場にも立ち、営業もし、経理もこなす。だからこそ、忙しさが増すと、考える時間が真っ先に削られてしまいます。「なぜこの仕事をしているのか」「このやり方は今も最適なのか」を考える余裕がなくなり、目の前の作業をこなすことが目的になってしまいがちです。
5月は、そうした状態に気づくのにちょうど良い月だと思います。連休で一度リズムが崩れている今だからこそ、立ち止まつて仕事を見直すことができます。例えば、毎月当たり前のようにやっている作業の中に、「実はやらなくても大きな問題はないもの」はないでしょうか。あるいは、「自分がやらなくてもよい仕事」はないでしょうか。
ここで一つ、身近な例を挙げてみます。あるサービス業の方は、忙しさに追われる中で、問い合わせ対応に多くの時間を取られていました。そこで、よくある質問をまとめて簡単な資料にしたところ、問い合わせ自体が減り、本来力を入れたかった仕事に時間を使えるようになったそうです。売上は変わらなくても、気持ちと時間に余裕が生まれました。
小さな会社の経営では、「頑張ること」よりも「整えること」が成果につながる場面が多くあります。忙しさを増やすことで売上が伸びる時期もありますが、ずっとそれを続けることはできません。むしろ、忙しさの中身を見直すことで、同じ仕事量でも結果が変わることがあります。
5月は、無理にアクセルを踏む月ではあリません。どちらかというと、「このままのスピードで大丈夫か」を確認する月です。忙しさに慣れてしまう前に、一度立ち止まり、仕事のやり方や時間の使い方を見直してみてください。忙しい毎日の中では、「考える時間」は後回しにされがちです。しかし、その時間こそが、経営を楽にし、長く続けるための土台になります。5月は、少しだけ余白を意識してみる。そんな過ごし方が、これからの経営に効いてくるのではないでしょうか。
株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩