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「会社を伸ばすための経営学」(2026年7月号)を掲載しました

コラム
2026.7.1

「値上げと「価格」の話」

 深谷の皆さん、こんにちは。7月になると、いよいよ夏本番です。暑さも厳しくなり、体力的にも疲れが出やすい時期です。商売をされている方にとっても、上半期の慌ただしさが一段落し、「今年後半をどうするか」を考え始める頃ではないでしょうか。
 先日、ある飲食店に入りました。その店は決して新しくもなく、立地が特別良いわけでもありません。メニューの値段も、周囲と比べて少し高めでした。それでも、お昼時にはほぼ満席。しかも、お客さんの多くが常連のようでした。不思議に思って見ていると、理由が少し分かった気がしました。店主が、お客さんの名前を覚えているのです。「いつものですね」「この前のお話、その後どうですか」。そんな何気ない会話が自然に行われています。料理だけではなく、「この店に来る時間」そのものに価値があるように感じました。
 最近、「価格競争が厳しい」という話をよく聞きます。確かに、物価高の影響もあり、お客さまは以前より価格に敏感になっています。しかし、その一方で、「多少高くても選ばれる店」も確実に存在しています。その違いは何でしょうか。もちろん、商品の品質もあります。しかし、小さな会社の場合、それ以上に大きいのは、「誰から買うか」なのだと思います。大手企業は、価格や量、効率では強いです。一方、小規模事業者は、どうしても同じ土俵では勝負しにくい。だからこそ、「この人から買いたい」「この店に行きたい」という理由をつくれるかどうかが重要になります。これは飲食店だけの話ではありません。製造業でも、建設業でも、サービス業でも同じです。例えば、同じ商品を扱っていても、「相談しやすい」「説明が丁寧」「対応が早い」といった理由で選ばれている会社は多くあります。
 実際、小さな会社の強みは、「人が見えること」です。大企業のように、担当者が毎回変わるわけではありません。顔が見え、考え方が伝わり、人間関係が積み重なっていく。この強みは、数字には表れにくいですが、経営において非常に大きな意味を持っています。一方で、この「選ばれる理由」は、自分では意外と気づきにくいものです。長く仕事をしていると、「できて当たり前」になってしまうからです。しかし、お客さまから見ると、その「当たり前」が価値になっていることがあります。最近は、SNSやインターネットで、どこの店でも簡単に比較される時代です。だからこそ、「安いから選ばれる」だけでは、なかなか続きません。むしろ、「この会社らしさ」があるほうが、長く支持されるように感じます。もし時間があれば、一度、お客さまの立場で自分の会社や店を見直してみてください。「この会社を選ぶ理由は何だろう」と。そこに気づけると、値下げとは違う戦い方が見えてくるかもしれません。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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