「会社を伸ばすための経営学」(2026年10月号)を掲載しました
「地域とのつながりが会社を強くする」
深谷の皆さん、こんにちは。10月になると、秋も深まり、各地で産業祭や商工祭、地域イベントが開催される季節になります。私もこの時期になると、講演や相談会などで各地を訪れる機会が増えますが、どの地域でも感じることがあります。それは、「元気な地域には、元気な会社がある」ということです。
もちろん、景気や人口など、自分たちではどうにもできないこともあります。しかし、それ以上に大切なのは、地域の中で会社同士がどれだけつながっているかです。ある町で、創業50年以上の小さな製造業を訪問したことがあります。社長に「新規のお客さまは、どのように増やしているのですか」と尋ねると、意外な答えが返ってきました。「実は、新規営業はあまりしていません。ほとんど紹介なんです」。話を聞いてみると、その会社は商工会議所の事業や地域のイベント、異業種交流会などに積極的に参加していました。すぐに仕事につながるわけではありませんが、顔を合わせる機会が増えることで、「困ったらあの会社に相談してみよう」という関係が少しずつできていったそうです。経営では、「人脈が大切」とよく言われます。しかし、本当に価値があるのは、名刺の枚数ではありません。「困ったときに相談できる相手がいること」ではないでしょうか。
小さな会社は、大企業のように営業専門部署を持つことは難しいかもしれません。その代わり、地域との信頼関係を築くことはできます。例えば、地域のイベントに協力する。商工会議所のセミナーに参加する。他の事業者と情報交換をする。最初は直接の利益につながらないかもしれません。しかし、その積み重ねが、数年後には大きな財産になることがあります。
どんなに優れた技術や商品があっても、知られなければ選ばれることはありません。反対に、地域の中で「あの会社は信頼できる」と思われている会社には、自然と仕事が集まってきます。最近はインターネットやSNSで全国に情報を発信できる時代になりました。しかし、その一方で、地域とのつながりの価値は、むしろ高まっているように感じます。特に小さな会社は、「地域で応援される会社」になることが、大きな強みになります。地域のお客さま、地域の会社、地域の金融機関、そして商工会議所。こうしたつながりがあるからこそ、新しい挑戦もしやすくなります。
渋沢栄一は、「信用は一日にして成らず」という言葉を残しています。信用とは、お金では買えない無形資産です。そして、その信用は、一人で築くものではなく、人とのつながりの中で育っていくものだと思います。
10月は、人が集まり、地域が最も活気づく季節です。今年はぜひ一つでも地域の行事や交流会に参加してみてください。すぐに仕事につながらなくても、新しい出会いが、新しい発想や新しい挑戦につながるかもしれません。
株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩