「会社を伸ばすための経営学」(2026年1月号)を掲載しました
「2026年、今年はこれをやろう!」
深谷のみなさん、明けましておめでとうございます。
日本には多くの中小企業がありますが、私たちの暮らしを支えるその存在はいま、大きな転換点に立っています。
人手不足、物価高騰、人口減少、デジタル化の波など、課題は数多く存在します。2026年にどのような取り組みをしていくのかを見ていきましょう。
まず一つ目は「強みの再発見」です。大企業と同じ土俵で戦っても勝てません。しかし、大企業にはできない「近さ」や「柔軟さ」が中小企業にはあります。お客さんに合わせて商品を調整したり、細かな要望に応えたり、地域に寄り添う姿勢は小さな会社だからこそできることです。深谷でも、旬の野菜を丁寧に説明する八百屋さんや、お客さんの好みを覚えてくれる店がありますが、こうした細やかな対応こそが大きな価値です。
二つ目は「デジタル活用」です。難しいことをやる必要はありません。まずはできるところからで大丈夫です。たとえば、SNSでお知らせを発信したり、デジタルで在庫を管理したり、チャットGPTのようなAIに文章づくりやアイデア出しを手伝ってもらったりすることも立派な一歩です。苦手意識を少し横に置き、とりあえず触ってみることが未来につながります。
三つ目は「人を育てること」です。結局のところ、会社を動かすのは「人」です。働く人がやりがいを持ち、学び、成長できる環境をつくることは欠かせません。最近では、若い人が地域の小さな会社へ入り、デザインや発信、アイデアで会社を元気にしている例も増えています。会社が人を育て、人が会社を育てる、このサイクルが未来をつくります。後継者を育成することも同じです。
四つ目は「共に取り組む」こと。個々の会社ではできないことも、商工会議所の仲間と組めば実現できます。仕入れを一緒にしたり、イベントを共同開催したり、地域の学校と協力して子どもたちの体験学習を受け入れるなど、つながりの中で新しい可能性が生まれます。深谷でも、商店街がスタンプラリーや食イベントを仕掛けることで新しい客層が生まれていますが、単独よりも「面」での取り組みが強さになります。
五つ目は「小さく挑戦を続ける」こと。時代は常に変わり続けています。以前はうまくいったやり方が、今は通用しないこともあります。そのため、少しずつでも新しい試みを重ねていく必要があります。新しい商品を試してみる、新しい販売方法を考える、AIを使ってみる、これら、全てが挑戦の一つです。十回のうち一回成功すれば十分です。失敗しても小さく始めていればダメージは最小限で済むし、やってみないと気づけない発見もあります。
さらに大切なのは、「地域と共に生きる意識」です。中小企業は地域と切り離せません。地域の人に愛され、地域にとって必要な存在であることこそが生き残る道です。地元産の素材を活用したり、地域のイベントに参加したり、お客さんの声に耳を傾けたり、こうした積み重ねが信頼を育んでいきます。深谷では、渋沢栄一の精神が根づいています。「人のため、地域のため」という考え方は、これからの中小企業にとって欠かせないものです。
最後に、これらを支える基盤として「経営の見える化」が重要です。どれくらい売れ、何が儲かり、どこに費用がかかっているのかを把握することで、正しい判断ができるようになります。感覚だけの経営から一歩抜け出すことで、ムダを減らし、強い会社になっていきます。日本の中小企業に必要なのは、大きく変わることではありません。小さな会社だからこそできる強みを見つけ、デジタルを味方につけ、人を育て、仲間と手を組み、小さな挑戦を積み重ねることです。その一歩一歩が未来につながります。深谷からも、新しい中小企業の姿が生まれてくることを願って。
株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩