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お知らせ

「会社を伸ばすための経営学」(2023年3月号)を掲載しました

コラム
2023.3.1

「運の総量」

 深谷の皆さん、こんにちは。いよいよ年度末ですね。本年度は、いかがでしたか。私の周りでは、本年度、苦しんだ方が多かったような気がします。私自身も、多くのトラブルに悩まされた一年でした。
 私のお客さんで、自動車の後部座席に乗ると、いつでも真っ先にシートベルトをする社長がいます。交通ルールですので、当然なのですが、なぜ、そこまでこだわるのかを聞いてみたところ、社会人としてルールを守るのは当然などの理由もあるが、一番は『余計なところで運を使いたくないから』だそうです。
 その社長が言うには、『運には総量がある』とのことです。例えば、後部座席でシートベルトをせずに車に乗っても、事故がなければ、しなかった時と大して変わらないかもしれない。でも、それは、事故が起きなかったというところで運を使ってしまっているし、もし起きた時に、仮に軽傷であれば、そこでまた運を使ってしまっている。こんな簡単なことで、普段意識していないところで消費してしまっている運を貯めることができるのであれば、とても得をしていることになるということです。
 そう考えると、例えば、今、自分に不運なことが起きていたとすれば、普段から、運を使ってしまっていて少なくなっているか、運を貯めたことになります。とすれば、大きな不運であればあるほど、大きな幸運のチャンスが、今後到来すると考えることができるのかもしれません。
 経営学では、『不運は不運を連れてくる』とも言います。もし、何かトラブルにあってしまったら、まずは、二次災害を防ぐことを考えなくてはならないということです。一見、運の総量とは逆のことを言っているように思えますが、短期的に不運の連鎖を止め、長期的視点では、運の総量を考えながらチャンスを見つけると考えることもできます。
 また、同じ現象であっても、見方によって、真逆にさえ思えてしまうことが多々あります。例えば、コロナで困っているときに、物価高などの外部環境変化が起きると、不運の連鎖としか思えませんが、好調な時であれば、ビジネスチャンスと捉えることができるかもしれません。
 それに、自分に起こった都合の悪いことを、「運が悪い」と落ち込むのではなく、これも何かの機会になると前向きに取り組んでみることで、新たな気づきや貴重な経験、ノウハウの蓄積につながることもあるかと思います。そう言った意味では、「運の悪いこと」は「何かを変えるチャンス」と捉えることもできます。
 もちろん、どう考えても、不幸は不幸であって、このままでは状況が変わらないことも多々あります。でも、考え方を変えて、その後の行動を変えることで、真逆の状況にさえなることもあります。是非皆さんも、この期末を機に、1年を振り返り、『運の総量』を考えてみてはいかがでしょうか。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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