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「会社を伸ばすための経営学」(2026年3月号)を掲載しました

コラム
2026.3.1

「年度終わり」

 深谷の皆さん、こんにちは。いよいよ3月ですね。街を歩いていると、どこか落ち着かない空気を感じます。年度末という言葉のせいか、人の動きも、街の表情も、少しそわそわしているように見えます。毎年この時期になると、同じような感覚を覚えます。
 個人的に、3月は「始まりの月」というより、「終わりを意識する月」です。4月から新しい環境に入る人が多いせいか、どうしても前向きな話題が多くなりますが、その前に必ず何かが終わっています。学生生活、担当業務、長く続いた習慣。終わり方はさまざまですが、「区切り」があるからこそ、次に進めるのだと思います。経営の現場でも、3月は似たような状況です。決算や年度替わりを控え、「来期はどうするか」という話題が増えます。ただ、その一方で、「今期、何が終わったのか」を振り返る時間は、意外と取られていない気がします。数字は締めるのに、仕事ややり方は締め切れていない。そんなケースも少なくありません。
 長く事業を続けていると、「とりあえず続けていること」が増えていきます。昔は意味があった仕事、当時は必要だったルール、今となっては目的が曖昧な取引先。やめる理由がないまま、惰性で続いているものも多いのではないでしょうか。忙しさの中では、それを疑問に思う余裕すらなくなります。ただ、3月という区切りの月は、そうしたことを見直す絶好の機会です。何かを新しく始める前に、「終わらせる」「手放す」「整理する」。大きな決断でなくても構いません。「これは来期も続ける」「これは一度止めてみる」といった整理をするだけでも、頭の中はかなりすっきりします。
 終わらせることには、どうしても勇気がいります。相手がいる仕事であれば、なおさらです。しかし、終わらせないまま新しいことを積み重ねていくと、経営は少しずつ重たくなっていきます。知らず知らずのうちに、選択肢が減ってしまうこともあります。3月は慌ただしい月です。だからこそ、「全部終わらせよう」と思わなくていいと思います。その代わり、「何を終わらせるべきか」を考える時間だけは、意識的につくってみてください。それだけで、4月のスタートはずいぶん軽くなります。
 年度末になると思い出すのは、「始めること」より「終わらせること」の大切さです。区切りをつけることは、後ろ向きな行為ではありません。次の一歩を、迷わず踏み出すための準備です。そんなことを考えながら、この3月を過ごしてみてはいかがでしょうか。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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