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「会社を伸ばすための経営学」(2026年8月号)を掲載しました

コラム
2026.8.1

「「休むこと」の話」

 深谷の皆さん、こんにちは。8月になると、お盆休みもあり、街の空気が少しゆっくりになります。もちろん、業種によっては逆に忙しくなる時期でもありますが、それでも「夏」というだけで、どこか普段とは違う時間が流れているように感じます。
 最近、ある小さな会社の経営者の方と話していて、印象に残った言葉がありました。
「昔は、休むのが怖かったんです」その方は創業以来、長い間ほとんど休みを取らずに働いてきたそうです。休んでしまえば、お客さまが離れるのではないか。仕事が止まるのではないか。売上が減るのではないか。そう考えると、休むこと自体に不安があったと言います。この感覚は、特に小さな会社の経営者にはよく分かる話ではないでしょうか。大きな会社であれば、ある程度役割分担ができます。しかし、小さな会社では、経営者自身が現場に立ち、営業をし、経理もし、人の管理も行います。だからこそ、「自分が止まる=会社が止まる」という感覚になりやすいのです。ただ、その方はこうも話していました。「でも、最近は休まないほうが危ないと思うようになりました」年齢を重ねる中で、体力だけではなく、判断力の疲れも感じるようになったそうです。忙しい状態が続くと、目の前のことしか見えなくなります。すると、本来なら気づける小さな変化を見落としたり、無理な判断をしてしまったりする。結果として、かえって経営が不安定になることがあると言います。
 これは、今の経済環境にも少し似ています。今まで日本全体が「止まらずに動き続ける」ことを求められてきました。人手不足、物価上昇、コスト増。多くの会社が、「もっと頑張らなければ」と走り続けています。しかし、その一方で、利益が思ったほど残らない、働いても余裕が出ない、という声も増えています。つまり、「動いていること」と「良くなっていること」が、必ずしも一致しなくなっているのです。経済ニュースなどを見ると、「生産性」という言葉がよく出てきます。難しく聞こえますが、簡単に言えば、「どれだけ効率よく成果を出せるか」ということです。昔は、「長く働くこと」が評価される時代もありました。しかし今は、「限られた時間でどう成果を出すか」が問われるようになっています。これは、小さな会社にとっても大切な視点です。例えば、「休みの日でも電話対応をしている」「夜遅くまで作業をしている」という状態が続くと、その場は何とか回るかもしれません。しかし、それを何年も続けることは難しい。特に、人手不足が進む中では、「ずっと無理をし続ける経営」は、ますます続かなくなっていくでしょう。
 最近は、あえて営業時間を短くしたり、定休日を増やしたりする店も出てきています。一昔前なら、「やる気がない」と見られたかもしれません。しかし今は、「長く続けるための経営判断」として受け止められることも増えています。もちろん、休めばすべて解決するわけではありません。ただ、「休むこと」を単なる甘えではなく、「経営を続けるための技術」として考える必要はあるのではないでしょうか。8月は、普段より少しだけ立ち止まりやすい季節です。もし時間が取れるようでしたら、一度、会社の動き方や、自分自身の働き方を見直してみてください。小さな会社の強みは、「無理がきくこと」ではなく、「柔軟に変われること」です。休み方一つとっても、その会社らしさは表れるのかもしれません。

株式会社ディセンター代表取締役 折原 浩

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